draw me a sheep

ワンルーム・ディスコ・プラクティス・イン・実家

DAY11

暇すぎて困った。

物件物色のミッションはクリアできた。

父も旅行へ出かけたので

家にはついに私ひとりになった。

夜になってもずっと一人で、他に誰も帰ってこないというのは

26年間でおそらくはじめてのことだった。

この家にいるときは、26年間常に誰かしらと一緒に寝ていたんだなと

それはそれで不思議なことのように思えた。

 

そういうことなので終日誰とも話さず

一人暮らしとはこんなにさみしいものかと

私はそれに今のところ耐性がないことをやっと実感した。

それを、上京してきた人たちは18歳くらいで始めるのだから

本当に立派というか

習うより慣れろなのかなと

やってみたら慣れる、まずやってみる

そういうものなのかなとも思うし

やってみて、出来ないことに気づく

脱落することもあるんだなと思った。

 

私は上京できたのかな。

たった一日のことなのに、そこに自分のたくさんの弱さを見た。

 

単純に寂しかった。

 

ひとりは心許ない。

なんとかせねばと元彼とひっきりなしにLINEをしてみたり

特段必要のない電話を新聞配達店にかけて安堵してみたり

手持ち無沙汰が頂点に達して街へ出たら

お店の店員さんとのやり取りに妙に敏感になったり

コミュニケーションに飢える感覚がありありとしていた。

 

仮にこれを毎日やっていたら私はどうなるのだろう。会社と一人の部屋の往復の毎日。

それでは確かに恋愛もしたくなるし外へ出たくもなるだろうなあ。

 

なんとか気分の上がる食べ物を、

と必死に考えた結果結局グラタンとハンバーグ丼になった。

それと一緒にお酒を飲みながらテレビを観、ポテトチップスを食べ、

アイスまで食べた。

 

料理すること、食べることが明らかに慰めになっている。