draw me a sheep

ワンルーム・ディスコ・プラクティス・イン・実家

DAY16

昨日見つけた求人に飛びつき、

勢いのあるうちにとパソコンで職務履歴書をつくったり簡単なタイピングテストを受けるなどしていたらやはり次第に気持ちが悪くなった。

 

職務履歴は自分で書き込むのではなく、用意されたたくさんの職種や業務のなかから当てはまるものにチェックを入れていく方式で

世の中には色々な肩書きや職務や資格や技術の名前があることがわかった。

 

この職務履歴作成フォームやそれを求めている会社の中では、それらたくさんの「職務の名前」のチェック欄をひとつ埋めるごとに社会構成員として認められるのだろうか、チェックを埋めるごとにだんだんと人の造型がしっかりとできあがっていくような感覚があって

こんなにできることがあっても派遣なんだ、とか

これが私が求められてきた標準以下の暮らしなのか、とか

色んなことを思った。

 

体調も悪く、もうろうとしていたので

自分を甘やかそうと坂の上のスーパーへ行き感覚のままに食材や飲み物を買ったりした。

その後は思いつく限り食べ続けていた

 

そんな一日

 

DAY15

始まったばかりと思っていた母のいない一ヶ月も折り返しを迎えようとしている。

ここ数日は、始めの一週間に意気込んでいたほど家事もしなくなり

特段変化をもたらそうとはしなくなった。

これは慣れてきたということなのか。

思えば母のいた頃の生活とその感覚が遠くに追いやられている。

 

昨日、今日と昼までぐっすり寝ている。

寝起きがよい。

起床時間が日に日に遅くなっている

 

そのかわり、朝7時頃に一旦目がさめるのは何なんだろう。

 

今日は約束の昼下がりに間に合うぎりぎりの時間まで寝てもたもたと準備をした結果遅刻し、さすがに呆れた。

しかし明らかに体調が悪いのでひとまずいたわって過ごすことにした。

今週唯一の予定を実行し、楽しく有意義な時間を過ごす。

久しぶりの雨が冷たかった。

 

今日も家のことは何もしていない。

毎日昼過ぎに起き、夕方にも家にいる娘を父はどう思っているのだろう。

いい加減いたたまれず、申し訳なくなってくる。

明日からは体調が戻り次第家事を再開してみようかな。

 

DAY13

午後から船宿。

いつも通り仕事をする。

精神的になんの負担もない。

 

ひとついつもと違ったこと。

かつて同じ船宿で働いていた元仲居の女性ふたりにお会いしたこと。

私は初対面だった。

ふたりは誘いあわせて、おかみさんに会うため遊びにきたという。

今では一般企業に勤めているとのこと。

当たり前のことだが私が来るまえからこの船宿は存在していて

私と同じように雇われている女性たちがいて

その人たちは船宿を去った後もおかみさんとたのしそうに関わりを持ち続けている

その様子はとても健康でさわやかに見えた。

私もいつかはここを卒業して

なつかしい思い出として留めるような一員になるのだろうか。

独特な、珍しい世界だと思ってはいるけど

私には居心地が良い世界だからこそ

何年もいられるんだなあ

しかしそれ以上でも以下でもない。

いつかはきっと出ていく。

 

 

DAY11

暇すぎて困った。

物件物色のミッションはクリアできた。

父も旅行へ出かけたので

家にはついに私ひとりになった。

夜になってもずっと一人で、他に誰も帰ってこないというのは

26年間でおそらくはじめてのことだった。

この家にいるときは、26年間常に誰かしらと一緒に寝ていたんだなと

それはそれで不思議なことのように思えた。

 

そういうことなので終日誰とも話さず

一人暮らしとはこんなにさみしいものかと

私はそれに今のところ耐性がないことをやっと実感した。

それを、上京してきた人たちは18歳くらいで始めるのだから

本当に立派というか

習うより慣れろなのかなと

やってみたら慣れる、まずやってみる

そういうものなのかなとも思うし

やってみて、出来ないことに気づく

脱落することもあるんだなと思った。

 

私は上京できたのかな。

たった一日のことなのに、そこに自分のたくさんの弱さを見た。

 

単純に寂しかった。

 

ひとりは心許ない。

なんとかせねばと元彼とひっきりなしにLINEをしてみたり

特段必要のない電話を新聞配達店にかけて安堵してみたり

手持ち無沙汰が頂点に達して街へ出たら

お店の店員さんとのやり取りに妙に敏感になったり

コミュニケーションに飢える感覚がありありとしていた。

 

仮にこれを毎日やっていたら私はどうなるのだろう。会社と一人の部屋の往復の毎日。

それでは確かに恋愛もしたくなるし外へ出たくもなるだろうなあ。

 

なんとか気分の上がる食べ物を、

と必死に考えた結果結局グラタンとハンバーグ丼になった。

それと一緒にお酒を飲みながらテレビを観、ポテトチップスを食べ、

アイスまで食べた。

 

料理すること、食べることが明らかに慰めになっている。

 

DAY10

記念すべきDAY10。

 

いつも通り10時に起きて絶望、食事をとりながらテレビを見て無心。

こんな生活と感情、一体何度目だろう、何年繰り返しているのだろうと思う。

何も変わっていない。

 

ということでこの間面談に行った就職サイトのメールを読み直し、サイトを検索しなおしたりしてみた。

大手の転職サイトや、既卒にはそれらは向かないと述べるブログなども読む。

狭いところに追い込まれた気になってみたり、これが最後のチャンスだとして

腰を上げようとも思う。

お仲間にも具体的な相談に乗ってもらおうと思った。

 

夜までなんとか時間をつぶし、

夕食後にご近所のお宅へ。

 

DAY9

生協のカタログを見てみるも、注文用紙が入っておらず注文はあきらめる。

カタログ、初めて真剣に買うつもりで読んだが

自分の食卓で何が食べたいか、何が必要か 来週もしくはその先を予想して買い物をするのは難しいと思った。

それよりも、特売として目立たされている品物を何も考えず買っていくのが楽に感じた。

生協のなかで少し安い、くらいの価格は、実店舗のスーパーと変わらない。

(積年のことだろうが、こうして10円単位でひとつひとつの価格を把握しているのもすごい。)

 

そうこうして時間だけ過ぎていった。

 

 

夕飯はシチューにしようと決め、

夕飯時になってから坂の上へ買い物に行く。ブロッコリー、しめじを買う。

 

父と一悶着してしまった (彼が床に置いたハサミを私が踏んでもいつも通り、謝る気もない、非を認めない。言葉にできないほどの不道徳さを発揮) ので、

作った夕飯を食べないようきつく意地悪に言った。しょぼくれて酒を飲んでいた。愛とかキリストとか思い浮かんだが、これくらいはしてもいいでしょう、と振り切った。

 

おいしくひとりでシチューとチキンカツを食べる。コールスローでうまくキャベツも消費できた。